「小さい白いにわとり」の話
ホームページ編集部
2025年6月11日掲載
ホームページ編集部
2025年6月11日掲載
みなさんは「小さい白いにわとり」という話をご存じだろうか?
昭和30年代に小学校生活を送っていた人なら、教科書に載っていたのを覚えているかもしれない。最近知ったのだが、この話は、もともとウクライナの民話らしい。
ネットで調べていると、「なにか理不尽なことがあると、この話を思い出す」という人もけっこういるようだ。
ご参考までに、全文を引用してみよう。
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小さい 白い にわとりが、みんなに むかって いいました。
「この むぎ、だれが まきますか。」
ぶたは「いやだ。」といいました。
ねこも「いやだ。」といいました。
いぬも「いやだ。」と いいました。
小さい 白い にわとりは、ひとりで むぎを まきました。
小さい 白い にわとりが、みんなに むかって いいました。
「この むぎ、だれが かりますか。」
ぶたは「いやだ。」と いいました。
ねこも「いやだ。」と いいました。
いぬも「いやだ。」と いいました。
小さい 白い にわとりは、ひとりで むぎを かりました。
小さい 白い にわとりが、みんなに むかって いいました。
「だれが、こなに ひきますか。」
ぶたは「いやだ。」と いいました。
ねこも「いやだ。」と いいました。
いぬも「いやだ。」と いいました。
小さい 白い にわとりは、ひとりで こなに ひきました。
小さい 白い にわとりが、みんなに むかって いいました。
「だれが、パンを やきますか。」
ぶたは「いやだ。」と いいました。
ねこも「いやだ。」と いいました。
いぬも「いやだ。」と いいました。
小さい 白い にわとりは、ひとりで パンを やきました。
小さい 白い にわとりが、みんなに むかって いいました。
「このパン、だれが たべますか。」
ぶたは「たべる。」と いいました。
ねこも「たべる。」と いいました。
いぬも「たべる。」と いいました。
小さい白いにわとりは、みんなになんといったでしょう?
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今にして思えば、「頑張った人がご褒美をもらえて、怠けた人はご褒美をもらえない」のが「当たり前」だと信じていた子供にとっては、どことなく納得のいかない話だっただろうと思う。世の中、決してそうではなく、むしろ、理不尽なことだらけなのだということを実感させる寓話とも言える。
それに加えて、しんどいことを嫌い、美味しいところ、楽しいところだけを取りたいという人間の本性をよく表しているとも言える。
何事においてもそうだが、「しんどさ」と「楽しさ」は表裏一体である。何かをやって楽しいと思うのは、それを作り上げたり、準備したりする人の努力(しんどさ)があるからこそである。
集団で何かを行おうとする場合には、みんなでしんどい思いをして、その成果をみんなで楽しむというのが理想だ。しかし、それが、ともすると、「楽しさ」だけを求めようとする人と、「しんどさ」ばかりを背負う人に分かれてしまう。それは、どこの集団でもそうである。必ずと言ってもいいほど、そうなる。
しかも、一人でやっている「小さい白いにわとり」に対して、そのパンを食べながら、「ちょっと塩が足りんのんとちゃう?」とか「もうひとつ、焼き加減がね…」などと評論家になったりすることもしばしばだ。
長い年月をかけて形成された性癖や性格は変わらない。
しかし、せめて、「自分はぶたやねこやいぬになってはいないか?」、「だれかを小さい白いにわとりにしていないか?」という自問だけはしたいものだ。